逃げても目を塞いでも、伝わってくるあの人の動向。
そして、ざわめく気持ちを抑えられないまま出席した。 大好きで大好きで、幸せにしてあげたかった男と、いっそ嫌いになりたかった親友の。 結婚式。
道明寺が結婚したのは、あたしたちが別れてから2年後。あの約束から6年が経っていた。
相手は、滋さん。 真っ白いベールに包まれた滋さんは本当に綺麗だった。 いろんなことが二人の間にはあったんだろう、うっすらと涙を浮かべながら、それでも幸せそうに笑ってる。 自分で呼んでほしいとお願いした式だけど、始まる前から、もう足元がふらつくほど動揺してる。 あたし達の別れは、お互い納得したものだった。 それでも、いつか道明寺はあたしを迎えに来てくれるんじゃないかって思ってた。 あたしが離してしまった手だから。 誰を選んでも文句は言えない。 でも、その相手が滋さんだった事に。 自分でも考えられないほど動揺した。 あたしは距離に負けたんだと、ずっと思っていた。 でも、実際は滋さんに負けたんだ。 滋さんとは、彼女がNYに行ってから会っていなかった。 「私は司の側にいてあげたい。たとえ彼女になれなくても。」 最後に会った空港で、あたしに謝りながら、でもきっぱりと言い切った。 私はなんにもいえなかった。道明寺とは遠距離恋愛も3年目。途絶えがちな連絡に 不安になっていたころだった。 あの人がNYに言ったとき、あたしはまだ高校生で、ついていくなんて事考えられなかった。1年たって大学はNYでといわれたときも、経済的理由を盾に断った。 どうして、二回も差し出してくれた手を振り払えたんだろう。 こんなに苦しいのに。 道明寺に会いたくて、でもみんなに助けてもらうのがなんだか嫌で、バイトに励んでた頃、滋さんは何度もあたしに確かめた。 ほんとに行かないの? 司は一人ぼっちなんだよ。 分かってなかったのかもしれない。 あの若さで企業の中心に立つつらさを。 滋さんはきっと同じ世界にいる人だから分かってたんだ。 チケット代がたまる前に、あたし達はギクシャクし始め、結局NYに言ったのは滋さんだった。 素直じゃないあたし。 誰にも本音が言えなかった。 「ごめん」 道明寺からかかってきた電話は、たった一言。 お互い何も言えず、長い沈黙の後あたしもやっと一言だけいった。 「しあわせになってね」 ただの意地っ張りだったと思う。 いつかは、なんて甘い考えも片隅にあった。 でも、それも今日完全に打ち砕かれて、粉々になった。 ☆;+;。・゚・。;+;☆next☆;+;。・゚・。;+;☆ ![]() |
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